「朝霧ものがたり」の物語を支えているのが、朝霧家の人々です。
案内役の小春をはじめ、夕凪、月乃、父の倍道、母の史乃、祖父母の和史郎と千代。そして、朝霧家と親しく行動をともにする深山千早と、猫のトコ。
年齢も性格もそれぞれ違いますが、日本に受け継がれてきた文化が自然に息づく暮らしの中で、日々を過ごしています。
落語や古典文学の物語を演じることもあれば、季節の行事を楽しんだり、昔から伝わる習慣について語り合ったりすることもあります。
このページでは、そんな朝霧家の暮らしと、「朝霧ものがたり」に登場する人々をご紹介します。
朝霧家とは

朝霧家は、代々受け継がれてきた広大な和風屋敷に暮らす旧家です。
重厚な木造の母屋。
長い縁側。
畳の和室、障子や欄間、中庭、茶室。
庭には池や小川、飛び石、石灯籠、苔、松、竹林があり、季節ごとにさまざまな草花が姿を見せます。
この家は、古いものを飾って眺めるためだけの場所ではありません。
長く使われてきたものを手入れし、季節の移ろいを感じながら、昔から受け継がれてきた暮らしを、今の時代にも自然に残しています。
床の間に花を生ける。
季節の行事を楽しむ。
昔から伝わる噺に笑う。
庭の草木を見て季節を知る。
朝霧家にとって、日本文化は特別な日にだけ触れるものではなく、日々の暮らしの中にあるものです。
そして、この屋敷が「朝霧ものがたり」の日常の舞台となっています。
朝霧小春

20歳・朝霧家の長女・「朝霧ものがたり」の案内役
明るく好奇心旺盛な努力家。
気になったことがあると、そのままにしておけず、自分で調べて確かめたくなる性格です。
「朝霧ものがたり」では、落語をはじめ、古典文学や日本文化にまつわるさまざまな物語を案内します。
難しい言葉や昔の習慣も、現代を生きる人に伝わる言葉で分かりやすく紹介するのが、小春の役目です。
一方、物語の再現が始まれば、案内役から一転。
江戸の町人、若旦那、職人、侍など、作品ごとにさまざまな人物を演じます。
現代の読者と、昔の物語の世界をつなぐ存在。
それが朝霧小春です。
朝霧夕凪

15歳・朝霧家の次女・古典文学担当
知的で穏やかな、三姉妹のしっかり者。
感情だけで動くより、一度考えてから行動するタイプで、勢いで進みがちな小春や家族を冷静に見ていることもあります。
昔の物語や言葉にも関心があり、「朝霧ものがたり」では特に古典文学の世界と相性のよい人物です。
物語の再現では、女房、娘、町娘などをはじめ、落ち着いた人物から気の強い人物まで、幅広い役を演じます。
穏やかな表情のまま、意外とはっきり物を言うことも。
静かなようで芯の強い、朝霧家の次女です。
朝霧月乃

10歳・朝霧家の三女・仏教担当
三姉妹の末っ子。
天真爛漫でマイペースですが、物怖じすることはあまりありません。
大人なら何となく聞き流してしまうことでも、
「どうして?」
「それって何?」
と素直に尋ねます。
その何気ない疑問が、物語や文化をより深く知るきっかけになることもあります。
小柄な姿を生かし、物語の再現では子どもだけでなく、作品によって意外な人物を演じることも。
自由な発想と素直な疑問で、朝霧家に新しい視点を持ち込む存在です。
深山千早

20歳・朝霧家と親しい女性・神道担当
朝霧家の血縁ではありませんが、小春たちとは親しく、日常でも物語の再現でも行動をともにすることの多い人物です。
明るく快活で、考え込むより先に身体が動くタイプ。
真っ直ぐで行動力があり、小春とはまた違った形で物語を前へ進めます。
神社や神道にまつわる文化とも関わりが深く、「朝霧ものがたり」では神道を扱う際の中心人物の一人です。
劇中再現では、職人や町人をはじめ、威勢のよさや強さが求められる役柄を担当することも少なくありません。
朝霧家の一員ではありませんが、日常にも自然に溶け込んでいる、家族同然の存在です。
朝霧倍道・史乃

朝霧倍道
49歳・朝霧家の父
娘たちを見守る、朝霧家の大黒柱。
旧家に受け継がれてきた文化やしきたりについて知っていることも多く、娘たちから尋ねられれば、昔の話を交えながら教えてくれます。
とはいえ、いつも厳格な父親というわけではありません。
娘たちに振り回されたり、つい調子に乗ったり、劇中再現では思いがけない役を任されたりすることもあります。
年長者として頼れる一方、どこか親しみやすい。
その両方を持っているのが倍道です。
物語の再現では、父親、旦那、大家、年長の町人など、年齢を生かした役柄でも登場します。
朝霧史乃
43歳・朝霧家の母
穏やかな雰囲気で、家族の日々の暮らしを支える存在です。
季節ごとの行事や食事、家のしつらえなど、昔から受け継がれてきた暮らしの知恵や習慣を大切にしています。
誰かに「日本文化」を教えようとして暮らしているわけではありません。
日常の中で当たり前のように続けていることが、結果として次の世代へ文化をつないでいます。
「朝霧ものがたり」の劇中再現では、母親や女房、奥方など、大人の女性を演じることもあります。
朝霧家に流れる、落ち着いた日常の空気を作っている人物です。
和史郎・千代

和史郎
朝霧家の祖父
長い年月を生きてきたからこそ知っている、昔の言葉や習慣、暮らしがあります。
和史郎にとって、それらは本で覚えた知識というより、暮らしの中で自然に身についたもの。
孫たちが知らないことを、何気ない会話の中で教えてくれることがあります。
昔のものをただ懐かしむのではなく、今の時代に残すべきものを静かに伝えていく存在です。
劇中再現では、老人、店の主人、年長者などを演じることもあります。
千代
朝霧家の祖母
和史郎とともに、朝霧家の文化と暮らしを長く見守ってきました。
季節の移ろいや家の行事、昔ながらの暮らしの知恵は、千代にとって特別に意識するものではなく、長い生活の中に自然に根づいています。
若い世代が知らないことを教える一方で、新しい時代の暮らしも受け入れながら、家族を穏やかに見守っています。
朝霧家の過去と現在をつなぐ、大切な存在です。
トコ

朝霧家で暮らす猫
黒と白の毛並みをした、朝霧家のもう一人の家族です。
縁側で昼寝をしたり。
庭を歩いたり。
誰かが何かをしていると、いつの間にか近くに座っていたり。
人間たちが古典や文化について真剣に話していても、トコにはあまり関係ありません。
気が向けば近づき、気が済めばどこかへ行く。
そんな猫らしいマイペースさで、朝霧家の日常を静かに見守っています。
三世代が暮らすことの意味
朝霧家には、子どもから祖父母まで、異なる世代の人々が暮らしています。
それぞれ、日本文化との距離も違います。
小春たちにとっては、初めて知る昔の文化かもしれない。
倍道や史乃にとっては、親から受け継いできたものかもしれない。
和史郎や千代にとっては、長い暮らしの中で自然に身につけてきたものかもしれません。
同じ文化でも、世代によって見え方は変わります。
知らないことを尋ねる人がいて。
昔のことを知っている人がいて。
それをまた、別の誰かへ伝える。
文化が受け継がれていく姿そのものを、一つの家族の中で描く。
それも「朝霧家」という設定の大切な役割です。
物語の外では家族。物語の中では役者。
「朝霧ものがたり」では、朝霧家の人々や千早が、落語や古典の登場人物に扮することがあります。
小春が若旦那になることもあれば、夕凪が女房になり、月乃が子どもになり、千早が職人になることもあります。
倍道や史乃、和史郎、千代も、作品に応じてさまざまな人物として登場します。
ただし、それは朝霧家本人として昔の時代を生きているわけではありません。
朝霧家の人々や千早が「役者」となり、昔の物語を再現しているものです。
そのため、普段の朝霧家の日常と、落語や古典の劇中世界は分けて描いています。
同じ人物が作品ごとにまったく違う役を演じることも、「朝霧ものがたり」の楽しみ方の一つです。
朝霧家と一緒に、日本の物語へ。
朝霧家は、日本文化について何でも知っている完璧な先生たちではありません。
知らないことがあれば調べる。
疑問があれば尋ねる。
昔から知っている人が、若い世代へ伝える。
そして、ときには物語の登場人物になって、その世界を演じてみる。
そんな人々です。
「朝霧ものがたり」では、これからも朝霧家と深山千早、そしてトコとともに、日本に残るさまざまな文化や物語を訪ねていきます。
それぞれの人物がどんな役を演じ、どんな日本文化と出会っていくのか。
物語とともに、朝霧家の日常も楽しんでいただければ嬉しく思います。